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このため、ばね定数の変更によるジャンピングの防止およびプランジャ部の注油による潤滑性の向上を図った。
更に、プランジャ表面の焼付および摩耗対策として、HV2,000以上という非常に硬いチタンナイトライド(TiN)をPVD法(物理蒸着法)によりコーティングした。(図31)

 

3.4 クランク軸

プロトタイプエンジンの全長を短縮するためには、シリンダピッチの短縮が有効と考えられる。
このためには、軸受の幅(連接棒の幅)を狭めることと、クランク軸のフィレットのR形状を小さくすることの2つが考えられる。
フィレット部のR形状を小さくする場合は、この部分が応力集中部であることから疲労強度の低下が問題となる。短縮効果と耐久性の比較から採用を見送った。
ただし、検討の過程で調査を行ったフィレット部ロール加工(フィレット部にロールを押付け、表面を塑性変形させることにより、強度を上げるとともに圧縮の残留応力を与える)については、信頼性の向上の上で非常に有効と考えられるため、プロトタイプエンジンに適用することとした。(図32)

 

a)260mm試験エンジン
NK(日本海事協会)ルールを用いて、目標出力時(出力率309、545PS/シリンダ)のクランク軸の応力について検討を行った。
この結果、目標出力時の応力は18.7kgf/mm2となり、許容応力である17.3kgf/mm2を超えることがわかった。
目標出力時の応力を許容応力内にするためには、燃焼最高圧力を約160kgf/cm2以下にする必要があることがわかった。
このため、エンジン試験時には、ミラーサイクルの適用により、できるだけ燃焼最高圧力を低く抑えることとした。

 

 

 

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